"戦国の世"を生きる 6
聞きもしないのに、女子社員相手に、有頂天でしゃべっています。
男は結婚してすぐ、家の近くで借家住まいを始めました。
まだ、東京オリンピックの前です。
祖師谷大蔵のはずれ、辺りはまだ新興住宅地ともいえない未開地で、名高い隣の成城までは、川があり、林があり、畑が続いていました。
そこの借家を安く借りたのです。
それが、この30年で周りが整備され、10年ほど前から近くには億ションが建つようになりました。
地主も傷んだ借家を壊して、億ションを建てるか、割に合わない家作の転売をしたがりました。
しかし、男がねっちり、借家人の権利を主張し、ごねるために、ことが進みません。
売るに売れず困りはてた地主と男との交渉は、内容証明による双方の言い分の表明から、弁護士をつけた裁判になり、足かけ10年近いのです。