バレンタインデーの思い出 1
今でも覚えている、バレンタインデーの思い出をお話します。
私は、バレンンタインデーに男性にチョコを贈ったことがない。
だけど犬にならある。
もちろん、オス犬だ。
名前は与一。
うちの裏隣に住む飼い主一家の奥さんが、俳優の林与一のファンなので、与一と名づけられた。
だけどその小さな三角形の目といい、赤鼻といい、佃煮のように濃い醤油色の毛なみといい、俳優どころか犬としても与一はぶさいくであった。
ただ尻尾だけは、すごかった。
フサフサしていて、リスみたいに太くて、それはそれは、大げさな尻尾なのだ。
そして与一がそれをブンブンとふりまわしはじめると、もう世界中の幸福を独り占めしているみたいにうれしそうに見える。
私と与一は同じ年で、私が生まれたころ与一ももらわれてきた。
つまり、同い年の幼なじみ。
小学校から帰ると、「散歩させてあげるね」と裏隣から与一を借りだしてはいっしょに遊び歩く。