バレンタインデーの思い出 2
その日は、ちょうどバレンタインデーを数日後にひかえ、商店街のあちこちにピンクのハートや赤いリボンの絵のついたポスターが貼られて、なんとなく楽しい雰囲気が漂っていた。
小学生とはいえ、バレンタインの意味は中学生の姉から聞いて私も知っている。
私はいつものように駄菓子屋で梅ジャムを買うついでに、ふと、チョコカスにも手をだした。
チョコカス、というのはカステラの外側にチョコをコーティングした駄菓子で、小学生のおこづかいでも買える値段のチョコである。
「はいよ」といって、おばあさんはそれを薄いポリ袋に入れ、口をねじってわたしてくれた。
そのとき(……もうちょっと、かわいい包装だといいな)と一瞬思った。
けれど、今日だけ赤いリボンを結べなどというのも、横暴な気がした私は言葉をのんだ。
駄菓子屋のおばあさんにラッピングの経験もなかったろう。
私は与一をひっぱって公園に行った。
犬にあげるチョコレートのラッピングにこだわってもなぁ、って感じですけどね。